Phyllomimus sinicus
ヒラタツユムシ





【分布】
南西諸島
【出現時期】
7月~3月下旬
【出会いやすさ】

南西諸島の森林に生息するヒラタツユムシ科の一種。普段は葉に擬態していて動かない。活動するときには擬態を解きクサキリのような姿になるため、別名クサキリモドキとも呼ばれる。オキナワウラジロガシの周辺に多い。特定の樹種に依存しているかは不明だが、食性はそこまで限定的でなく、木本から草本の葉や果実を食べる。樹冠にいるため人目に触れる機会は少ないが、生息域では鳴き声をよく聞くので、個体数は多いと思われる。樹上から「ジーッ!」と短く鳴く声が聞こえたら、ヒラタツユムシの可能性が高い。天敵に襲われそうになると、逆立ちするような体勢で威嚇し、後脚で挟んで迎撃する。3月下旬頃から幼虫が見られ始めるが、成虫発生時期が7月頃からと幼虫期に3か月以上も要しており、一般的な直翅類と比べて成長速度は遅い。また10月になっても幼虫が見つかることから、孵化のタイミングや成長のばらつきが大きい可能性がある。丈夫で長生きし、3月下旬になっても鳴き声が聞こえる。
最近、中部地方で大陸由来の外来種が発見された。今後生息域を拡大する恐れがあり、生態系への影響も含め注意が必要だ。


【成虫の姿】
オス
メス
【生態写真】

ヒラタツユムシ初齢幼虫
小指の爪ほどの大きさしかない。クビキリギスと似ているが、後脚が短く体は横に広い。また背中に赤い斑点がある。

ヒラタツユムシ中齢幼虫
若い幼虫のうちは低木でも見られ、葉の裏にいることが多い。触角を目印に探すと良い。

ヒラタツユムシ終齢幼虫
幼虫期は成虫とは異なり淡い黄緑色をしている。葉の裏の色に合わせているのだろうか。

ヒラタツユムシ♂
成虫オス。ほとんどが高い木の上にいるが、辛抱強く探せば低いところに降りた個体が見つかる。

鳴くヒラタツユムシ
前翅の発音器を擦り合わせて鳴くオス。周りにいる他のオスの声につられて鳴くところがある。

ヒラタツユムシの卵
樹皮に産卵管を差し込んで卵を産む。薄い袋状の構造物の中に卵が入っている。