Ornebius longipennis ryukyuensis
リュウキュウカネタタキ
南西諸島
6月中旬~3月下旬






リュウキュウカネタタキは、大型で美しいカネタタキの仲間であり、特にその長い尾肢が特徴的である。南西諸島の海岸沿いの低木林などに生息し、海側に分布するヒルギカネタタキとは異なり、陸側を主な生息域としている。石垣島や西表島では個体数が多く、内陸の山林部でも見られるが、奄美大島や沖縄本島では海岸線付近に生息が限定されているように見える。成虫は長生きで、翌年の春まで生き残ることもあるが、発生のピークは夏である。その鳴き声はカネタタキに似ており、可憐で美しいと評される。音量はやや大きく、「チッ…チッ…」とゆっくりとしたテンポで始まり、次第に「チチッ…チチッ…」とリズムが変化する独特の鳴き方をする。メスはオスの鳴き声に反応し、後脚を地面に叩きつけるような行動を示す。この行動が音によるものか、振動によるものかはまだ解明されていないものの、何らかのコミュニケーション手段であることは間違いない。同様の行動は、日本のカネタタキ亜科全種で確認されている。幼虫は成虫とはやや異なる姿で、体にはくっきりとした縦縞模様がある。この明瞭な模様は日本産のカネタタキ類では本種に特有なため、容易に識別できる。なお、小笠原諸島にはリュウキュウカネタタキの基亜種であるオガサワラカネタタキが生息するが、近年ではリュウキュウカネタタキを独立種とする分類が提唱されている。
成虫の姿

オス
メス
生態写真

リュウキュウカネタタキ中齢幼虫
幼虫期にはくっきりとした縦縞模様がある。成長と共に薄くなっていくが、成虫になるまで縦縞は視認できる。

リュウキュウカネタタキ♂
成虫オス。オレンジ色の前翅が美しい。内陸側のヒルギ林や海岸林に多く見られる。

リュウキュウカネタタキ♀
国内のカネタタキの仲間としては最大。尾肢も長く、胴体と同じくらいある。

リュウキュウカネタタキのペア
ヒルギカネタタキと混生することがあるが、こちらは全身が褐色で、より大きい。

集まるリュウキュウカネタタキ
カネタタキの仲間は同じところに集まることがあり、最盛期にはこうした光景が見られる。