Eobiana engelhardti subtropica
ヒメギス
北海道・本州・四国・九州
6月上旬~10月上旬
河川敷や湿地などで見られる中型のキリギリスの仲間。6月頃から成虫が発生し、草の根際で鳴く。長翅型が発生することがあり、灯火に飛来することもある。若干の肉食傾向があるものの、ヤブキリやキリギリスほどではない。緑色型と褐色型がおり、緑色型の背面は色鮮やかで美しい。
日本にはヒメギスの仲間が複数生息している。いずれも外見は似通っているが、分布や鳴き声、わずかな形態の差異などで識別できる。基本的にヒメギス以外は山地に生息しているので、平地でヒメギス類を見た場合は本種と判断して差支えないだろう。近縁種にはイブキヒメギス、トウホクヒメギス、バンダイヒメギス、ヒョウノセンヒメギス、ミヤマヒメギス、エゾヒメギス、ハラミドリヒメギス(さらに3亜種)が知られている。
成虫の姿
オス
メス
生態写真
ヒメギス若齢幼虫
3月頃から孵化した幼虫が見られるようになる。胸部にあるくっきりとした白い線が目立つ。
ヒメギス中齢幼虫
若齢幼虫と外見はほとんど変わらない。他のヒメギス類と見分けるには、腹の色を確認する必要がある。
ヒメギス♂
緑色型のオス。基本的に幼虫はすべて褐色だが、成虫には背部が鮮やかな緑色の個体が出現する。
ヒメギス♀
緑色型のメス。腹の色の他に、翅端が尖り気味になることも、他種との識別ポイントになる。
近縁種
Eobiana japonica
イブキヒメギス
冷涼な地域に生息するヒメギスの一種。北海道や本州北部の山地に分布する。開けた草原や林縁の下草など、適応する環境は比較的広い。翅が美しい赤褐色で、先端が丸みを帯びることや、「シリッ、シリッ...」と短く区切って鳴くことなどからヒメギスと区別できる。夏から秋にかけて成虫が発生する。寒冷地では、日が差すと日光浴をする姿がよく見られる。
Eobiana nippomontana
ミヤマヒメギス
本州北部の標高の高い山地に生息するヒメギスの一種。林縁や湿地に多い。体は灰褐色を帯び、他のヒメギスと比べて渋い見た目をしている。緑色型は著しく少ない。「シリッ、シリッ...」と短く区切って鳴くため、鳴き声だけだとイブキヒメギスと紛らわしい。夏から秋にかけて見られる。